しまずあいみのぽんこつ日誌

~アラフォーになったのでタイトル変えました~

妊婦日記 in パリ(その2:外出制限と白髪)

外出自粛して3ヶ月。もう、白髪まみれである。


一見して「白髪すごいね!」というわけではないのだが、髪の表面を一枚剥ぐと、白髪がわんさか見える。


なかでも喫緊の課題は、もみあげだ。

 

30歳の誕生日の翌日に、「三十路おめ〜」と突然現れたもみあげの白髪が、以来、抜いても抜いても生えてくる。


以前は「お前らの代で根絶やしにしてくれるわっ!」と根こそぎ抜いていたのだが、そうすると奴らはますます子孫繁栄してくるので、もう孫の代で諦めた。


こんな髪質だけど、わたしはまだ、北川景子と同い歳なんだ。まだ頭取にはなりたくない…。

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フランスでは小さな床屋も、出張型の美容師も、国に営業を禁止されて1ヶ月以上経つ。

 

夫も「外出制限が解かれたら、まず床屋に行きたい」と毎日漏らしているが、そういう人は結構多いと思う。


先日も、国に隠れてひっそり闇営業をしていた小さな床屋が、警察に摘発されたらしい。店主も、店に並んでいた客も情け容赦なく一斉摘発だ。

 

それなら、スーパーで白髪染めを買ってきて自分で染めようかとも思ったのだが、いままで「フランスの(髪の)薬剤は強いから、気をつけたほうが良い」と日本人の美容師に言われてきたので、妊婦の自分が手を出して良いものか迷いがある。


ちなみに、隣国のベルギーに住む妹に以前「白髪染めをどうしているか」と聞いたところ、「こちらのカラー剤が合わないので、日本のAmazonから取り寄せている」と言っていた。妹も、10代の頃から白髪を染めてきた苦労人なのだ。
あの時備蓄しておくべきだったのに…わたしのバカ…。

 

ちなみにわたしはクセの強い天パなので、毛の悩みは尽きたことがない。
神様に「どんな半生でしたか」と聞かれれば、「毛に翻弄された半生だった」と答える。

 

それでも3ヶ月に1度は縮毛矯正をし、日々のホームケアでなんとかしていたのだが、いまは自宅の風呂事情があまり良くないこともあって、おざなりにしてしまっている。

 

余談だが、昔「マヨネーズでトリートメントをするとサラサラになる」「ヨーグルトでトリートメントするとしっとりする」などの、いま冷静に考えれば「たとえ効果があったとしても、わざわざそれやる?」系のヘアケアが、まことしやかに囁かれていなかっただろうか。

 

自分は小学生の頃、確か『ピチレモン』だったか何かの雑誌で見た気がするのだが…。

しかし、酸っぱ臭い思いをして色々試行錯誤を重ねたが、結局自分の癖毛はビクともしなかった。
食品を無駄にしたうえに風呂場を汚し、親にブチギレられた苦い思い出である…。

 

さて話を戻すと、いま住んでいるアパルトマンは築130年、日本だと歴史的建築物である。

風呂の湯はタンク式なので、一定量以上使うことができない。
1日に2人分シャワーを使うと、もう湯が枯渇して水風呂になるので、湯船に湯をためることができないのだ。
いったい、なんのための湯船や…。

 

ユニットバスなのに何故かだだっ広いのだが、海外の風呂なので、身体を洗うスペースもない。
寒い浴室で湯船に突っ立ってシャワーを浴びるのは、冷え性にとっては真夏以外は苦行でしかない。
加えて、妊娠してからじゅうぶんなトリートメントやヘアケアが難しくなり、家にいるときはガサガサの髪をひっつめている。

先日鏡を見て、思わず「髪の毛がチン毛みたいだな〜」とつぶやいたら、夫が背後で「頭から生えるなんて、優秀なチン毛だね」と言った。

 

どういう受けなんだろうか…。
つくづく、人というのは、一緒に暮らしてみないとわからないものである。

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夫は白髪まみれの私が気になるらしく、ソファや布団でゴロゴロしている時に、白髪を根元から抜いてくる。
「抜くな!」とキレたら、今度は根元から切ろうとしてくる。
向こうにとっては、膝の上に乗せたペットの毛づくろいのつもりかもしれないが、白い切れ毛が増えるだけで根本解決にならないので、マジで止めてほしい。だからチ●毛が増えるんだ!

 

そんな夫だが、普段は無数に埋まっているわたしの地雷を避ける能力が、著しく高い。


だから何も言わないが、本音では、自宅に居てもキレイにしてて欲しいのかもしれない。

わたしだって、雑誌やSNSで見る、「家の中でもオンナを忘れないのが夫婦円満の秘訣」という、恐らく正論、だけど当事者からすると呪いでしかない言葉が、頭を過ぎらんでもないのだ。

だけど、妊娠中の妻の見た目が劣化したからと言って「女として見れない」とかのたまう、種馬の隅にも置けない東出みたいなやつは、「こちらから願い下げだ!」と思い直して、自己正当化する日々である(無論、杏ちゃんは美しい)。

 

しかし、妊婦が集まる掲示板やQ&Aサイトを覗くと「妻の妊娠中に、夫が浮気」というケースは、どうやら珍しくないらしい。

それを読んでたら、なぜか他人のわたしまで腹が立ってきた。


それでこの間、帰ってきた夫に「妊娠中に浮気したら、あんたのこの先の収入も、根こそぎ慰謝料と養育費としてふんだくってやるからなーっ!」と夫に突っかかったら、「何と戦っているの?」と言われた。

 

確かに、わたしは目の前にいない敵と戦いがちである。

つわり中は「妻がつわりに苦しんでいるのに、自分の世話が疎かになったと怒る子どものような夫」(掲示板より)の類に、猛烈に怒っていた。

お察しの通り、昨今のtwitterによくいるタイプの人間である。

 

ところで最近、オンラインでフランス語会話の授業を受け始めた。

 

講師はフランス在住の日本人女性。
この先生が、髪はいつもキレイにブローされており、メイクも適切に施され、スカーフやストールで顔周りも華やかなのだ。

 

どことなく工藤静香に似た雰囲気を感じて(美人なのだ)、心の中で静香先生と呼んでいる。しかし、せっかく自宅に居るのに、日に数時間しかない授業のために、気を遣わなくてはならないとは。オンライン講師業も大変だな…。

 

そんな静香先生を見ていると、わたしも生徒として、すこしはわきまえるべきかと思い、3ヶ月ぶりに化粧をしてみた。

 

…マスカラを塗る手が震えていたので、たまにはリハビリをしていこうと思う。